やめろ、私は魔王じゃない


審神者専用スレにて

524:名無しの審神者
あの、皆さんに質問したいことがあるのですがよろしいでしょうか?

525:名無しの審神者
初心者審神者?ならそっちのスレの方がいいよ

526:名無しの審神者
いえ、内容が内容なので、出来ればベテランの方々に聞いてほしいのですが・・・

527:名無しの審神者
この書き方、女の子の匂いがする

528:名無しの審神者
>>527 検非違使さんこいつです

529:名無しの審神者
>>526 コテと酉、スペックは分かるか?
とりあえずお兄さんたちに聞かせてみなさい

530:名無しの審神者
ベテランに聞いてほしい内容、ってなんだろうな。

531:名無しの審神者
また政府が新人をブラック本丸に当てたか?

532:名無しの審神者
最近ブラック本丸に新人送られて殺される、なんて話よく聞くからな

533:魔王仮
コテはこれで・・・。
審神者になって1年の女です。
高校卒業と同時に審神者の研修を受け、自分の本丸をいただきました。
初期刀は蜂須賀虎鉄です。

本題なのですが、転生、というものは本当にあるのでしょうか?
釣り臭いと思われるでしょうし、私もスレでそんなことを言われたら釣りだと思います。
ただ長谷部が大変なことになっているので出来るだけ早く解決したいです

534:名無しの審神者
釣り乙!・・・と言いたいが女の子だ。まず写真とおっぱいのサイズとパンツの色を

535:名無しの審神者
別スレとかでもたまに前世の記憶がある、って審神者は見かけるけどな。
付喪神呼び出せるくらいだからそういうのがあっても不思議じゃないとは思うが。

536:魔王仮
えーと、写真はこれでいいでしょうか?

【目元をIDの書かれた紙で隠した黒髪の女の子の写真】

537:名無しの審神者
そうざがすごいめでしゃしんみてるこわい

538:名無しの審神者
お、女の子だあああああああああ!!

539:名無しの審神者
うちは長谷部が見た瞬間に泣き出した、ちょっと宥めてくる

540:名無しの審神者
え、宗三と長谷部が沈没したとか・・・誰か薬研ニキに写真見せろ。

541:魔王仮
539さんの長谷部は大丈夫ですか?まさか泣き出すとは思わなかったので申し訳ありません・・・

542:名無しの審神者
うちのニキに見せた瞬間「信長様・・・!?」って写真食い入るように見てる怖い

543:名無しの審神者
>>541 ああ、大丈夫だ。ただ長谷部がずっと「公、貴方はそこにいらっしゃったのですね・・・」とか言い出したくらいで

544:名無しの審神者
とりあえず魔王仮、何があったのかまとめてくれないか?
織田に縁深い三人がこの状況だ。
時系列順に書いてくれ

545:魔王仮
薬研君や宗三さんまでですか・・・
とりあえずまとめてきますのでお待ちください




562:魔王仮
お待たせいたしました

563:名無しの審神者
お帰り魔王仮!俺の隣の長谷部が画面を食い入るように見つめているから出来るだけ早くしてくれ

564:名無しの審神者
うちは宗三がやばい。とにかくやばい。

565:魔王仮
では投下いたします。

スペックでも書いたように、私は高校を卒業してから審神者としての研修を受けて自分の本丸をいただきました。
初期刀は蜂須賀で、彼はスパルタではありましたが初心者の私をきちんと指導してくれる良いパートナーでした。
鍛刀をし、刀剣たちも増え、私も少しずつではありますが兵法を学んだりして1年が経ちました。
資材に余裕が出てきたのでその時の近侍だった清光君と一緒に鍛刀をしました。
清光君のお友達の安定君が居なかったので、彼だったらいいねと言ったら清光君は別にアイツ友達じゃないし、とそっぽを向いてしまいました。
きっと照れているんだろうなぁと思って時間を見たら2時間半。確かこの時間は大太刀だったはずです。
本丸には大太刀が居ないので清光君と二人でとても喜びました。
そして手入れ札を使って出てきたのがへし切長谷部でした。

へし「へし切長谷部ともうしまっ・・・」
魔王「!?」

自己紹介の途中で長谷部が目をまんまるにして私を見つめてきました。
何故、とかまさか、とかぶつぶつつぶやいていたのですが長谷部は急に私の足元に跪きました。
そして

「信長公・・・ようやく貴方に出会えました!何年時が流れようと、肉の器が変わろうと、俺が貴方を見間違えるはずがありません」

色々衝撃的過ぎて1週間前の事なのですが一字一句鮮明に思い出せます。
号泣し始めた長谷部が私の手を取った瞬間思わず、蜂須賀の名を叫びました。
鍛刀部屋に来た蜂須賀が本体の鞘で長谷部を殴って気絶させ、清光君が手早く布団で簀巻きにしました。
彼らの手際の良さが逆に怖かったです。
そのあとからずっと長谷部が後ろについてきて「何か命令はございませんか?公」「信長公、貴方の為なら何でもしますよ」と言ってきています。
助けて下さい

566:名無しの審神者
さて、どこからツッコもうか

567:名無しの審神者
魔王仮はこう・・・前世の記憶とかあるのか?

568:名無しの審神者
何かうちの長谷部が崩れ落ちたんだけど。
「俺はここでも捨てられるのか・・・?」とかとりあえず殴って気絶させておいた

569:魔王仮
長谷部さん殴らないであげてください!
うちでも殴ってしまいましたが

>>567 いえ、ただの高卒審神者です。
信長公と言われましても自分にはきちんと本名がありますし、政府から割り当てられた演練用のコード名もあります。
あ、でも剣道は少しだけ得意です

570:名無しの審神者
うーん、長谷部の主命拗らせはいつものことなんだけど、魔王仮の事を信長って呼んでるんだな?

571:名無しの審神者
信長が下げ渡したのを根に持ってとうとう可笑しいへし部が鍛刀されたのかと思ったら結構ガチっぽくて震えてる。
俺の隣の長谷部が食い入るように魔王仮の書き込み見てる。

572:魔王仮
>>570 はい。他のみんなは主や、主様と呼んでくれるのですが長谷部だけは信長公と呼んできます。
私は女ですので性別から違うのですが・・・。

573:名無しの審神者
マジで信長の生まれ変わりなんだろうか。
っていうか魔王仮は長谷部とどうなりたいの?
信長って呼ばれるのが嫌なの?ストーカーじみた行為が嫌なの?

574:名無しの審神者
まず魔王仮がどうしたいのかが分からないと対処できないな

575:魔王仮
私としては、今まで蜂須賀や清光君、それ以外の刀剣男士たちとしてきたように少しずつ仲よくなっていきたいです。
後信長って呼ぶの止めてほしいです。普通に仲よくなりたいです。
普通に話をしたりお茶をしたり、出陣の準備をしたりしたいんです。

576:名無しの審神者
見てる限りじゃ蜂須賀と清光は魔王仮に好意的なんだろ?特に蜂須賀は初期刀で、魔王仮も信頼している。
・・・一度長谷部ときちんと話すべきなんじゃないか?

577:名無しの審神者
うちの長谷部に信長にそう言われたらどうする?って聞いたら「それが信長公の主命とあらば」って言われた。
前途多難すぎる

578:魔王仮
やはり普通に、というのは難しいでしょうか?
蜂須賀に相談してみたいとは思います。

私は!主命とかじゃなくて!普通に!長谷部と!話したいです!

579:魔王仮
荒れてすいません。
もしかしたら織田関係の刀剣はこんな感じになってしまうんでしょうかね・・・。
歴史は詳しくないので織田信長が長谷部や宗三さん、薬研君に何したのかきちんと調べた上で話をしたいと思います。

580:名無しの審神者
とりあえず魔王仮は落ち着け。な?

581:名無しの審神者
深呼吸しろ、深呼吸

582:魔王仮
皆さんこんな信じられないような話を信じて下さってありがとうございます。
まずは落ち着いて、歴史を調べて蜂須賀とも話をして長谷部を折り合いを付けたいと思います。
また何か進捗があれば報告させていただければと思います。

―――

「どうしたらいいと思います?」
机に両肘をついて指を組んだ手の甲の上に顎を乗せる、いわゆるゲンドウポーズをしながら私は近侍の蜂須賀に尋ねる。
「・・・長谷部君のことかい?」
「はい。ネットで相談してみたのですが、余所様の長谷部や薬研君、宗三さんも似たような感じになってしまったようでして」
今度は頭を抱える。
どうやら少なからず転生して前世の記憶を持ったまま審神者をやっている人もいるらしい。
審神者という特殊な職業上そういった摩訶不思議なことがあっても不思議じゃない。
ああもう不思議と言う言葉がゲシュタルト崩壊しそう。
「私は!信長じゃ!ないです!!ただの高卒審神者なんです!普通に仲よくしたいのに何でできないんですかぁ!!」
あああああ!と絶叫に近い声を上げて机に額をぶつける。痛い。
「主、いい加減その奇行をどうにかしないと・・・」
蜂須賀が呆れた声で言いかけたのを大きな音が遮った。
・・・・・・ああ、来てしまった。
「信長公!いかがされましたか!」
審神者さんはね、貴方のその高い機動力をもっと別の場所で活かしてほしいなってそう思います。
「いえ、なんでもないです」
「ですが・・・ああ、お顔が腫れています!今手入れ箱を持ってきます!」
いいです、と言うよりも先に長谷部は部屋から去っていく。
「・・・・・どうしたらいいと思います?」
「君が織田信長の生まれ変わりだという時点でもう無理だろうね」
「殺生な!」
私の近侍がとても私に厳しいです。この世は冬です。
「審神者向いてないんですかね」
「そんなことはないと思うよ。初陣を重傷で帰ってきた僕を見ても狼狽えもせずこんのすけに指示を仰いだり出陣した部隊が流血して戻ってきても一切の動揺も見せずに手入れをする。凄く見上げた根性だと思うよ」
「褒めてます?それとも貶してます?」
ううう、私の初期刀はとてもスパルタですよ。
「褒めてるよ。とても若い女の子が出来ることじゃない。流血も見慣れてるんじゃないの?」
織田信長だから、と付け加えられれば私の口からはため息しか漏れない。
「だっていきなり貴女は織田信長の生まれ変わりですよ!とか言われて信じられます!?私ただの一般人ですよ!」
そして織田信長とへし切長谷部、宗三左文字、薬研藤四郎という刀の関係性を調べてさすがに血の気が引いた。
まだ私の本丸に宗三さんと薬研君は居ない。これは凄く運が良かった。
余所様の話を聞く限り薬研君は何か私に会っても大丈夫な気がする。でも宗三さんはヤバい。
いくら私に記憶がないと言ってもだ。織田信長お前何やってるの!?としか言いようがない助けて。
1年でもう審神者辞めたいとしか思えないしこれ以上刀剣増やしたいとも思えない状態。
どうやらへし切長谷部は織田信長に名づけられたが、黒田官兵衛に下げ渡されたのが凄いトラウマになっているらしい。
大事にしてもらったんでしょ!?黒田さんちで大事にしてもらって今も国宝でしょ!?何が不満なの?
私がうっかり目をそらして「あ、いいです」だなんて言おうものなら彼の頭に垂れ下がった犬耳みたいなの見えるんですよ!?
っざけんなぁ!って思いますよ。あのガタイのいい男に!犬耳!!しかも垂れ下がっている!
「どうしろっていうんですか私に!私何も悪くないのに凄い罪悪感があるんですよ!」
「そう言われてもね。俺にはどうしようもないよ」
「うう、蜂須賀が私に厳しい」
この世は地獄です。思わず机に突っ伏す。
「信長公!薬をお持ちしました!」
「ありがとうございます。後信長じゃないです」
もう今しかない。私は顔を上げて長谷部の目をじっと見る。
「わ、私!長谷部にずっと言いたいことがありました。いいですか?」
「はい!何なりと!」

めっちゃえがおなんだけどこわいよう。

「わた、私は信長公じゃないですから!だから普通に主でいいです!」
ひいい、いけめんこわいよう。はせべいけめんだからわらってもむひょうじょうでもこわい。
「後できれば普通に話をしたいし、お茶とか飲んでお話したいし、あの・・・」

視界の端で蜂須賀が「諦めろ」と首を横に振ったのが見えた、気がした。

「はい、かしこまりました。何があろうと俺は貴方の側を離れる気はありません」

あ、これアカンヤツや。
目の前にいる長谷部はとてもいい笑顔をしている。
手が、自分の意志とは関係なく震える。
「いかがされましたか?・・・主」
長谷部の口元が歪んだ。そうとしか言いようがない笑みを浮かべている。

審神者歴1年。もう辞めたいです。
出会って1週間でヤンデレになりました。

記憶がないのにどうしろっていうんですかね・・・?