平均的な審神者が頑張る話
何ていうのかな。
私の人生は全て平均だった。
テストを受けたら平均点ぴったり。体育テストを受ければこれまた全国平均ぴったり。
顔も普通。漫画でいうモブ顔。「この子私そっくりだわwww」って背景女子を指さしたら友人も笑ってそっくりだと腹筋壊れるんじゃね?ってくらい笑ってた。
言おう。私は自他ともに認める平均女です。
学力も体力も顔面偏差値も。
何もかも普通。背景に同化できるから変ないざこざに巻き込まれたこともない。
ビバ普通!
存在に関しては「居れば何かしらで役には立つけど、居なくても特に問題はない」。イエス平均。
そんな私はなぜか審神者をやっている。もう6年目だ。
霊力?ええ、もちろん平均値でしたがなにか?
そんな存在自体が微妙な生き物でも何とかやっていけてるものだね。
私の霊力程度じゃレア太刀なんて高尚な存在を呼び出せもせず、「お兄さん呼び出せなくてごめんね!!!」などと藤四郎兄弟に土下座謝罪したりしたことも今では懐かしい記憶である。
演練に行って三日月宗近を見たときに「実在したんだ・・・」ってつぶやいたら近侍の山切君がダメだコイツみたいな目を向けてきた。酷いよ山切君。
もう30超えた所で結婚も諦めたし、皆こんな平均女を主だと慕ってくれてるし、もうここでこのまま人生終わらせてもいいんじゃないかな。そんな風に人生に諦め、もとい人生観を悟った。
お父さん、お母さん。孫の顔は妹が見せてくれるさ大丈夫。私はここで審神者として一生を終えようと思います。
「ぎゃああああああああああああああああああああ!!山伏さああああああああああああああああああああああん!!!???」
そりゃあ審神者なんて職業、平和とは縁遠いけれど。
「カッカッカ。主殿はお転婆であるなあ」
出陣してた人が血塗れなうえ腕が変な方向に曲がって帰ってきたら誰でも悲鳴あげると思うし、主ってばお転婆だなぁとかそういう問題でもレベルでもない。
女子(笑)とは思えない酷い悲鳴を上げたが、慌てて薬研君に手入れ室の準備を頼む。
「たったたた、たろ、太郎さん!山伏さん支えてあげてください!そして手入れ室に!!」
審神者歴6年、今までこんな大怪我して帰ってきたことは一度もないので脳みそはキャパシティオーバーです。
おかげさまで手入れ室までダッシュしようと思ったらすっころんで顔から倒れた。鼻血が出たが今はそれどころじゃない。
「な、何でこんなことになったんですか・・・」
鼻血と涙をボロボロ流す三十路女とはさぞ滑稽なことだろう。
私は山伏さんをポンポンしているが薬研君が「うわぁ」って顔しながら手拭いで顔拭いてくれた。すまない、君にまで面倒かけた。
「ふむ、これも一重に拙僧の修行不足である。主殿が気にすることは何一つないぞ」
「いやいやいやいや、こんな血塗れ傷だらけ腕が変な方向に曲がってるのを修行不足で片づけられないし気にしすぎて眠れなくなるから本当に止めて」
山伏さんの傷をポンポンしながら私の指示が悪かったのだろうかと考える。
「うむ、主殿の采配の問題ではない。敵の大将を討ち取った後に検非違使なる者が現れてな。主殿への通信も出来ぬままにこの様よ」
カッカッカといつものように笑って私の頭をぐしゃぐしゃとなで・・・
「お願いですからその変な方向にひん曲がった腕を使わないでくださいいいいいいいいいいいい!!」
式神を三体召喚して四方向から山伏さんをポンポンすることにする。
涙と鼻血でぐっしゃぐしゃになった三十路女。
・・・笑えよ!そこで微妙な顔してる薬研君よ!いっそ笑い倒せ!!
一気に式神を召喚したせいで霊力足りなくなって頭ガンガンしてきたけどそれどころじゃない。
手伝い式神さんたちもわらわらやってきて本日の出陣メンバーの手入れもし始める。
「何で山伏さんが一番ひどいんですかぁ・・・」
皆中傷、酷い人は重傷に近い中傷。
・・・山伏さんが一番酷い。
「山伏が俺らの事を庇ったんだよ」
こちらも中傷で痛々しい姿の和泉守さんが言う。
「私いっつも言ってますよね!まずそうな敵が現れたらとっとと逃げろって!戦略的撤退大事!!」
作戦名は命は大事にですよ!!
私が死んでも代わりはいるものとでも言いたいのかもしれないが!そういうんじゃないんだよおおおお!!
どこの綾波だよ!確かに別個体の山伏国広は拾えるかもしれないけどこの本丸でずっと一緒だった山伏さんじゃないだろうがよ!
頼むから命大事にしろよちくしょう!!
思わずポンポンの手に力が入ったらしく上からうめき声が聞こえてきた。
「あああああ、ごめんなさいいいいいいいい!」
「もう大将!それ以上は止めておけ!後は手入れ式神がやるから!」
こいつはもうだめかもしれんと薬研君にドクターストップをかけられる。そのまま引きずられるように手入れ部屋から出される。
「ううう、みんな大丈夫かなぁ・・・」
「折れてねえし、こうして手入れもしてる。これは予測不能の事態だ。大将がそこまで気に病むことじゃない」
薬研君男前だなぁ。
渡された手拭いでごっしごっしと顔を拭く。
もうここまで来るとどうとでもなぁれになってくるお年頃だ。
「あー!主また乱暴に顔拭いて・・・ってどうしたのそれ、鼻血出てる!!」
「あれ、まだ出てる?」
清光君が慌てて駆け寄ってきて大丈夫?大丈夫?とオロオロとしだす。
女の私より(ここ強調な)美しい顔をした青年にそこまで心配されて、私も山伏さんの怪我やらなんやらで気を張ってたせいで廊下にそのままへたりこんでしまう。
「ううう、みんなごめんよ・・・」
私みたいな平均野郎よりもっといい人材いるだろうに。
「みんな無事・・・とは言えない大怪我もしてたみたいだけどきちんと帰ってきたんでしょ?それに今手入れもしてるんでしょ?主は何も悪くないよ?」
「ううう。こんなファッキン平均野郎に薬研君も清光君も優しい・・・」
清光君に手を引かれて自室へ向かう。
「アンタ、顔・・・大丈夫か?」
「山切君・・・ごめんよう、お兄さんが大怪我しちゃったんだよ、私がきちんと確認しなかったからだ・・・。後顔大丈夫かの意味によっては流石の私も怒るぞ」
偏差値的な意味合いだったら怒るよ?おばちゃんさすがに怒るよ?
山切君は初期刀な事もあって色々バッサリ言ってくれる。
「兄弟が・・・?一体何があったんだ?」
山伏さんはここの本丸では最古参の方に入る刀だ。それでもって私が一番最初に顕現させた太刀でもある。
『私程度の霊力の審神者の元に来てくれてありがとうございます!!!』と土下座したのは懐かしい。
あれ?私刀剣男士たちに土下座ばっかしてね?まぁ神様と人間じゃ神様の方が格上だから土下座くらい普通か。
かくかくしかじか。
「・・・なるほど、兄弟らしいな」
山切君はため息を吐いたかと思うと待ってろと言ってどこかへ行ってしまう。
「とりあえず主は休んで」
清光君と薬研君はそう言ってくれるけれど手入れ室のみんなの事が心配で(特に山伏さん。アレは痛々しすぎる)そわそわしてしまう。
「落ち着け」
「ぶへっ」
何か冷たいものが目元に向かって投げつけられた。
濡れタオルだ。部屋の外に目を向ければ山切君が呆れたような顔をして立っていた。
投げたのお前か。おばちゃん悲しいな。これでも私と君は6年の付き合いだったはずなんだけどな。
「兄弟のあの怪我はアンタのせいじゃない。あまり思いつめるな」
前言撤回。私の初期刀は凄い心の広い優しい子だった。
「山切いいいいいいいいいいいいいい!お前は本当にいい子だなああああああああああああ!お母さんは嬉しいよ!!」
べーべー泣きながら山切君に抱き着いたら「誰がお母さんだ!」と言うツッコみが返ってきた。
引きはがされはしなかったのでこれが6年の絆だということにしておいた。
もう結婚とか無理だから短刀君たちを子供として扱ってもいいかなぁ?
とりあえず休め!と三人から念を押された上に山切君が部屋の前に張っているので外にも出られない。
『出たらダメ?』『ダメに決まってるだろう』というやりとりを20回繰り返した辺りで山切君にキレられた。
「様子見に行くだけでも」
「ダメだ」
「ちょっとだけ」
「ダメだ」
「ほんの少しだから」
「ダメだ!」
「いやほんとちょっt」
「ダメだと言ってるだろ!」
おばちゃんしょんぼり。
仕方ないから濡れタオルを目元に当てて座布団枕で寝転がる。
和泉守君は痛々しかったけど中傷だったし、大丈夫そうだ。他の子もそう。
一番酷いのはやっぱり山伏さん。大丈夫かなぁ。腕変な方向に曲がってたし血塗れだし傷だらけだったし。
っていうかあの腕大丈夫?人体ではありえない方向に曲がってたよ?
山伏さんなら「これも修行の一環」とか言って笑ってそうだけどあれ絶対痛いよ?痛いとかそういうレベル通り越してるはずなんだけどなぁ。
うーうー唸っていたら外からため息が聞こえてきた。
「おい」
「・・・何だい、外に出してくれない冷たい山切君よ」
「薬研と加州にも外に出すなと言われているんだ、諦めろ。・・・・・・何度も言うが、アンタがそこまで気を病むことじゃない」
山切君は自分の事を写しだなんだと卑下しているが本当はとてもいい子だ。
私のように何事も平均で居ても居なくても大して変わらない存在とは違う。
「・・・・・・山切君を初期刀に選んでよかったよ」
「いきなり何なんだ、気持ち悪いことを言うな」
「あはは、そういう所も好きだよ山切君、相変わらずばっさりだ」
少し休ませてもらうよ、と言えばああ、という短い返答が返ってくる。
よほど気を張っていたのか、目を閉じた途端睡魔がやってきた。
「んー・・・」
どのくらい眠っていたのか、もう日は傾き始めていた。
障子の方へ視線を向ければ山切君はもういなくなっていた。
「・・・こちらスネーク。行動を開始する」
一人ドヤ顔で障子をスッと開ける。
夕暮れ。今ならみんなは各々の部屋にいるはずだし光忠君を中心とした厨メンバーはそちらにいる。
サッと移動を開始する。中傷メンバーの手入れはもう終わって部屋に戻っているようだ。
後の残りは・・・とそーっと手入れ部屋の扉を開く。
手入れ式神がこちらを見たが私が唇に人差し指をあてたジェスチャーをすると察してくれたのか黙って手入れ作業を続けてくれる。
音を立てないように山伏さんの隣に座る。
「・・・・・・やっぱり、相当痛いよね」
眠っているようだが怪我は相当痛むのだろう、脂汗が浮かんでいる。
・・・よかった、腕は戻ってる。
手入れ式神さんは黙々と仕事を続けてくれている。
審神者研修の時にこっそりと聞いた話だ。
手入れ中の刀剣男士に自分の霊力を注ぐことで怪我の治りを早くしたり痛みを和らげることが出来るらしい。
『って言っても俺らみたいな霊力じゃ碌に注いでやれないだろうけどなぁ』
そう言って笑っていた同期の男の子は元気にしているだろうか。いや、あの時同い年だったから今はもうおっさんか。私ももうおばさんだしね。
私は自分の手を見つめていたが決心する。
よし、やろう。
霊力が減っても死にはしない。
せいぜい頭が痛むか汚い話だが吐くかその程度だ。
彼らの痛みには程遠い。
眠る山伏さんの手に自分の手を重ねる。
・・・見た目からも分かるが山伏さんの手はがっちりしていて、まさに男の人という感じだ。
目を閉じて山伏さんへ霊力を送り込む。
この時気を付けなければならないのは自分が霊力を送り込む際に向こう側からやってくる神力だ。
これを取り込み過ぎれば人の世へ戻ることが出来なくなるそうだ。
ぶっちゃけ、戻れなくなったらそれはそれで別にいいんじゃないかという世捨て人なのでいいんだが、神様にも相手を選ぶ権利あるだろう!こんなおばちゃんよりもっと若い娘がいいだろうよ!
純潔は保ってるけどな!!
自分の喪女+コミュ障っぷりは泣けるがそんなことはさて置いて。
神力を送り込まれないよう阻止しつつ、自分の霊力を流し込む。
ああ、やっぱり私は平均レベルなんだなぁ。まだ少ししか送り込んでいないのに頭がガンガンしてくる。
昼間に式神三体を一気に召喚したのもまだ響いている。
でも霊力のおかげか少し山伏さんの表情が柔らかくなった気がする。
よっしゃおばちゃんやっちゃう!頑張っちゃうよ!
何分くらい経ったか、頭はガンガン痛むし吐き気というか胃は痛いしで視界が狭まってくる。
あー、山伏さんって普段はあんな感じだけど凄い綺麗な顔立ちしてるよなぁ。
男前っていうの?
いや、普段もすごくいい人なんだけどね。たまに声でけぇ!って思うくらいで。
荷物持ちとか率先してくれる、し、あー、あたま、いたい。
いき、できない。のどがひゅうひゅうと音をたてる。
薄暗くなってきた部屋で、パチリと開かれた赤い瞳と目が合った、気がした瞬間・・・ブツリと意識が途切れた。
遠くで人の声が聞こえる。
何を言っているのかは分からないが、揉め事のようだ。
目を開けたいのだがどうにも体がだるくて動かないしもういいかなぁ、もう一回寝ても。
「ぶへっ!」
とか思った瞬間に顔に何かが落ちてきた。待って、びっしょびしょなんだけどこれ、後いきぐるし・・・
「っはあ!殺す気か!!!何これ!濡れタオル!?」
寝てる人間に濡れタオルはダメだ。倫理的かつ常識的に考えろ。死ぬぞ、窒息する。
急に起き上ったせいで頭痛が余計に酷くなった。
「山切君・・・君か」
謀反人として尻叩きの刑に処すぞ。
しかしまあ珍しく布キャストオフした山切君に睨まれてへこたれる平均女ですよ。ヘタレなの。30過ぎてもメンタルはガラスなんだよ。
「アンタは!何をやってるんだ!!」
珍しいね君がキレるのって。
「え・・・何?何って・・・」
山切君はため息を吐いたかと思うと彼らしからぬ雑さで座布団の上に座り込む。どさって音したよ。
普段もっと大人しいよね、君。
「夕餉だからとアンタを呼びに来たら部屋に居ない。慌てて全員で探したら手入れ部屋でアンタが倒れてた・・・一体何をやってたんだ。そんなに霊力を減らして」
うっわぁ・・・山切君これマジギレしてるよ・・・。
「山伏さんが本当に辛そうだったので霊力をわけて少しでも早く回復するようにしてました!!」
綺麗な分めっちゃ怖いんだようちの山切君は!!
そしてまたもため息を吐かれる。
「・・・兄弟は折れたわけじゃない。アンタの手入れも迅速で、的確だった」
「・・・はい、その通りです」
時間が経てばきちんと傷は治る。皆はそう言ってくれていた。
そして今回の事は検非違使という第三勢力の突然の介入による避けられない事態だったことも分かっている。
「ごめん」
結局独りよがりだったなぁ、と思う。
平均女が無意味なことをして、無駄に面倒をかけてしまった。
「燭台切が粥を用意したそうだ。持ってくる」
布をかぶって山切君が部屋を出ていく。
短刀たちがわらわらやってきて涙目になっているのを見て申し訳なさで心がはちきれそうになる。
「明日は絶対安静にしてろ」
ぶっきらぼうな山切君の言葉には優しさが含まれているのを私はよく知っている。
そうして夜が明けると人の姿は見えねど気配はするのでこれ完全に見張られてるね。
仕方ない。霊力も回復しきってないし縁側で一日自分の虫干しでもしてるか。
この状態で出陣してまた手入れが必要になると、私の霊力不足で手入れも出来なくなる・・・。
そこまで考えてさらに落ち込む。
ほんっと平均女は後先考えないなー。
はぁ、とため息を吐いたところ頭上から声が降ってきた。
「主殿、隣をよろしいだろうか?」
「うおあ!やややや、山伏さん!怪我は!怪我は大丈夫ですか!」
慌てて立ち上がり部屋の中から座布団を持ってきて敷くとどうぞどうぞと座布団を叩く。
「・・・主殿はそのままでいいのか?」
「私は少し反省もしたいのでこのままでいいです」
考えなしな女を笑え。
「ああ、よかった。怪我は・・・治ったみたいですね。本当に良かったです」
「主殿は心配性であるなぁ。これも修行のひとつであるぞ」
「いや、普通の人や付喪神様は腕が人体としてありえない方向にねじ曲がるのを修行で済ませませんって」
あの状態で帰ってきた山伏さんを見たとき、本当に心臓が止まるかと思った。
今回の出陣では少なくともあんな怪我をするような編成でも無理な出陣でもなかったはずだ。
それでも戦に絶対はありえない。
「主殿、兄弟から聞いたのだが。無理をさせてすまなかった」
「はい?・・・ああ、山切君から?私が勝手にやった挙句にみんなに迷惑かけたことですから」
気にしないでください、と付け加える。
「拙僧達は刀だ。・・・言ってしまえば物でもあり、物であるからこそ振るう人が居なければならぬ」
「私は、皆さんを物だと思った事なんてありません」
分かっておる、と山伏さんはいつものように笑い飛ばす。
「しかし振るう人間がおらぬといけないのも事実。主殿は兄弟と同じように自分を卑下することが多いようだが、拙僧らはそうは思っておらぬ。主殿は、我々をよく見、そして気にかけて下さる心優しい女子だ」
おなご、っていう年でもねえなあ。とか頭が飛びかける。
「私、皆さんのお役に立ててますかね・・・」
泣き虫って治らないんだなぁ。30過ぎてこんなにべーべー泣くなんて、子供のころは思ってもなかった。
「ふむ、我らも感謝を伝え損ねておったのだろうか」
何でもないようにそれを肯定してくれる山伏さんはとても優しい。
「ううう、ありがとうございますううううう」
女にあるまじき泣き声をあげて思わず山伏さんに抱き着いてしまう。
山伏さんは慌てたようだけど引きはがすような真似はしない、兄弟そろっていい人だ。
「私もっと、皆さんに頼ってもらえるよう頑張りますから」
そう言って目元を乱暴に擦って顔を上げる。
ああ、やっぱり山伏さんは綺麗だなぁ。赤い瞳をみてそう思う。
「よっし、そうとなったら畑でも耕してくるか!」
「カッカッカ。ならば拙僧もお供しよう」
先を歩く山伏さんの背を見て、もう一度決心しなおす。
何もかも平均だけれど、みんなに対する愛情や信頼は誇れるようにしようって。